ファレルの考えは原理主義的だと感じる。フェミニストたちの発言と同じように、かなり極端に思える。しかし間違ってはいないとも思う。

彼は結婚を両性の依存として捉えている。女性は男性に経済的に依存し、男性は女性に情緒的に依存すると言うのだ。女性が男性に求めるのが経済的な支えなので、離婚が珍しかった昔は男性が他に家庭を持っても、経済的に問題がなければ許された。ところが最近は、離婚が増えているため、話が複雑になっている。

女性問題で失脚した政治家の事例を複数列挙した後で、彼はこう結論づけている。

ステージIでは離婚が許されていなかったので、男性が浮気をしても女性の経済的安全が危険にさらされるようなことはなかった。ステージIIでは浮気が離婚につながるので、男性の浮気は女性の経済的安全を危険にさらすことになる。私たちは、女性の経済的安全を危険にさらす態度のロールモデルを務める政治家にリーダーとなって欲しくなかったのだ。(61ページ、太字は原文では傍点。ただし原文を適宜修正)

つまり、ステージIでもステージIIでも、女性が男性に求めるのは経済的な支えであるという点は変わっていない。離婚を可能にするため、慰謝料の制度、政府の補助など、離婚女性を支えるさまざまな制度が米国では整備された。

離婚になったとき、女性の最も大きな恐れは経済的喪失だ。男性のそれは情緒的喪失だ。ステージIIの離婚の法律はアリスが経済的依存から経済的独立へ移行することを助けた。どのステージIIの法律もジャックが情緒的依存から情緒的独立へ移行することを助けなかった(それがなぜアリスが裁判所へ経済的援助を得るために駆け込み、ジャックが感情的サポートを得るために新たな女性の元へ駆け込むのかの理由である)。(57ページ、原文のまま)

なかなか面白い観察だと思うが、一面の真実だろう。だが、これは米国の話であって、日本の話ではない。慰謝料や養育費を決めても、それを実際に払い続ける男性は少ないのが日本の現状のようだ。厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147.html)によると、現在も養育費を受給している母子世帯の母は24.3%だという。米国のように経済的な援助制度を手厚くすることが重要だと思うが、まず離婚が減るような両性のありかたを探るべきだろう。