アメリカ大陸に大型動物がいなかった理由は、まだはっきりとはわかっていない。

もともとアメリカ大陸は、オーストラリア・ニューギニアと同じように大型動物に満ちていた。1万5000年ほど前のアメリカ西部には、ゾウ、馬、ライオン、チータ、さらにはラクダや地上性オオナマケモノなどといった珍しい動物までもが群れをなして棲んでいた。しかし、オーストラリア・ニューギニアと同じように、アメリカ大陸でもこれらの動物はほとんど絶滅してしまった。しかしこの絶滅は、オーストラリアでは3万年前に起こり、アメリカ大陸では1万7000年前から1万2000年前のあいだに起こっている。大量に出土している獣骨がいつごろのものかが正確に測定されているアメリカ大陸の動物については、絶滅年代を紀元前1万1000年頃[引用者注:現在西暦2020年なので、今から1万3000年前]と特定できる。(上82ページから83ページ)

この時期は、クローヴィス遺跡を残した狩猟民たちがグランドキャニオンにやってきた時期と一致するという。「肋骨のあいだにクローヴィス型投げ槍用尖頭器が刺さったマンモスの骨がたくさん見つかっている(上83ページ)」ことから、著者はこれらの大型動物は人間が絶滅させてしまったのだろうと推測している。ただし「これに対しては、最終氷河期末期の紀元前1万1000年頃に気候の大変動があり、それによって大型動物が死に絶えた、とする反論もある(同ページ)」そうだ。

上の引用でも触れていたが、オーストラリア・ニューギニア(更新世時代は海面が今より低く、この2つは陸続きだった)にも固有の大型動物(メガファウナと呼ばれる)が棲んでいたことがわかっている。ところがこの大陸に人類が移ってきた後にこれらの動物は絶滅している。

化石や石器などから、4万年前には彼ら[人類]がすでにオーストラリア南西端に到達しており、3万5000年前までにはオーストラリアの南東端とタスマニアに到達していたこともわかっている[中略]。そして3万年前までには、ニューギニア高地に到達したことがわかっている。(下165ページから166ページ)

そして、この大陸では「数万年にわたって驚くべき数の動物の骨が堆積した遺跡がいくつも発掘され、調査されているものの」、それは3万5000年前で途切れている。つまりその時点以降「オーストラリア・ニューギニアに大型動物メガファウナが存在していた痕跡はまったく残っていない(上74ページ)」。著者は、これも人間が狩り尽くしたのだろうと推測している。

先史時代に人類が住みはじめた島々を研究すると、どの島においても人類の登場につづいて動物種が絶滅している。(上75ページ)

古代人を弁護すべき点がないでもない。彼らはには肉を保存する技術が乏しかっただろう。大型動物を仕留めても、何日もそれを食べ続けることはできず、腐らせてしまい、また新たに獲物を仕留めねばならなかったのではないだろうか。干し肉は作れたかもしれないが、燻製などは作れなかったかもしれない。また周囲に獲物がたくさんいれば、美味しい部分だけ食べて後は捨てていたことも考えられる。現代人から見れば乱獲に思えるようなことも、止むを得ない部分があったのではないかと推測する。

だが、いずれにせよ、人間が動植物を絶滅させ続けていることは間違いない。この世界はそのようにできているのだとも言えるが、人間が罪深い存在であるようにも思えてならない。