「日刊デジタルクリエイターズ」(以下「日刊デジクリ」)というメールマガジンがある。1998年4月13日に創刊され、平日に発行され、7月26日現在でNo.4837である。誌名から推察されるように、プログラマ関係の人びとやクリエータ関係の人びとが寄稿しており、面白い記事も多く、私にとっては情報源のひとつである。

だが、いつも隅々まで読むわけではない。紙の本の場合は表紙から奥付、さらにはその後の広告まで読むのだが、メールマガジンはそこまで読む気にならない。いつも記事が2つか3つなので、面白そうなものを見るだけだ。現在ぽつぽつと読んでいるのは、存在論やシンギュラリティにこだわるセーラー服オジサンこと小林秀章が書いている「Otaku ワールドへようこそ!」、スクリプト系が得意な古籏一浩の「クリエイター手抜きプロジェクト」、ローマでマンガを教えているMidoriの「ローマでMANGA」だろうか。Midoriの記事を読んだことでNHKで放送された「ラジアン」を見て、さらに元の漫画本を購入することになった。

配信される記事はウェブサイト(http://bn.dgcr.com/archives/)にアーカイブとして保存されているので、今回はそこから引用することとした。

前置きが長くなったが、常連の執筆者「まつむら まきお」が寄稿をやめた。まつむらは、自称「まんが家、イラストレーター・成安造形大学教授」である(http://www.makion.net)。文章は面白く、特に笠居トシヒロとの「MKチャット対談」は面白く、かなり読んだ(毎回ではない)。そのまつむらがNo.4830で「日刊デジクリ」にはもう寄稿しないと宣言したのだ。

デジクリに寄稿しはじめたのは、デジクリの創刊3号、1998年4月。なんと21年になる。今のシリーズ『ユーレカの日々』をはじめたのは2011年6月。これもすでに8年たった。
唐突ではあるが、今回でデジクリに寄稿するのを止めることにした。また、バックナンバーに掲載されている過去の原稿(まつむら単独のもの)も、すべて削除していただくよう、編集部にお願いする。
その理由は、もうこのメディアに自分の文章が載っていることが耐えられないからだ。
なぜそう思うに至ったかを説明しよう。後に詳しく述べるが、要するに、柴田編集長の編集後記が、私にはもう耐えられない。特に6月〜7月はひどかった。歴史修正主義的な立場をとる人たちの本ばかりが続く。(http://bn.dgcr.com/archives/20190717110000.html)

私が清水潔『「南京事件」を調査せよ』を読了して、ブログに「南京事件を否定する人びとの心理を分析してみたい」と書いたのと時を接してこのようなことがあった。だから、この問題について少し状況を説明し、私の考えを述べてみたい。