新聞社からメールで記事が送られてくることがあるが、今日、朝日新聞社から送られてきた「アナザーノート」の記事「コロナ禍で上がる指導者の支持 例外は日本のなぜ」(https://ml.asahi.com/p/000004c215/9100/body/pc.html)は、興味を引いた。執筆者の佐藤武嗣は、朝日新聞の安全保障担当編集委員だ。彼によれば、「欧州など主要国の指導者の支持率は軒並み上昇しています。ところが、その例外が、日本です」と言う。たしかにそのような感覚は持っていたが、彼が示す調査結果にはそのことが明確に現れている。
米調査会社「モーニング・コンサルト」は、独自のオンライン調査で世界の主要国の大統領や首相の支持率を記録し、分析しています。世界保健機関(WHO)がコロナを「パンデミック(世界的大流行)」と認定した昨年3月11日から同月末まで、「コロナ初期」の9カ国の首脳の支持率を分析したところでは、英国、ドイツ、カナダ、豪州、フランスで首相の支持率は軒並み上昇。米国のトランプ大統領やメキシコのオブラドール大統領も微増しています。支持が下落したのは、日本の安倍晋三首相と、「ちょっとした風邪」などとコロナ対応を露骨に軽視したブラジルのボルソナロ大統領だけでした。
否定的な調査結果はこれだけではない。
シンガポールの調査機関「ブラックボックス・リサーチ」とフランスの「トルーナ」のオンラインでの共同調査では昨年4月、23の国・地域を対象に、コロナ感染症への指導者の対応を分析。政治指導者への評価で、トップは当時すでにコロナ禍から回復基調にあった中国で86%、23カ国・地域の平均が40%で、日本はなんと最下位の5%。
さらに昨年秋以降の菅内閣支持率も低下しており「首相就任直後の昨年9月22日には、+34(支持56%、不支持22%)でしたが、今年1月21日段階で-35(支持27%、不支持62%)に急降下しています」という。
「アベノマスク」にしろ「GoToトラベル」にしろ、素人目にもお粗末なのだが、問題は日本の首相たちがなぜそのような態度をとったのかなのだろう。記事ではドイツのメルケル首相の態度と比較しているが、比較の対象が良すぎる。
記事では野口悠紀雄の言葉が引用されており、野口は、本当は救済が必要な人たちに集中的につぎ込むべきなのに、全国民対象に巨額の給付金を出したこと、GoToトラベルが困窮する人を救済するというより、一部の利益団体への支援と国民の人気取りであったことなどを批判している。ところが記事には「なぜ」の説明がない。
なぜかは今さら言う必要もないのかもしれない。現在の官邸には国民の声を聞くチャンネルが存在しないのだ。周囲にイエスマンばかりを集めた結果なのかもしれないし、為政者に一般国民のために尽くそうという信念がないからなのかもしれない。詳しいことはわからないが、支持率が下がっているという「結果」を見れば、国民、特に困窮者の声が届いていないことは明らかだ。