西欧社会も日本も、一夫一婦制から戻ることはできないだろう。一夫一婦制の歴史は、人間の進化の歴史の中ではごく短期間であるとはいえ、数百年の歴史を持つ。また、すでに一夫一婦制への適応が始まっていると考えていい。たとえば、ヒトの精子数は近年減少しているという。
著者らは、これが一夫一婦制への適応が始まっている現れではないかと考えている。特定のパートナーだけを妊娠させるのであれば、現在ヒトのオスが持っているような精子産生能力は必要がない。
また、男女が相手の婚外交渉に対して抱く強い嫉妬心も、一夫一婦制を維持する強い力となるだろう。社会体制も一夫一婦制を支持する形になっているので、これも一夫一婦制から離脱する大きな障害となる。
著者らは、一夫一婦制が農業生産と密接に結びついたもので、私有した生産手段を後代に伝えるために発達した制度だと説明している。それならば、工業化された現代では生産手段の世襲はおこなわれないので、一夫一婦制を維持する意味は少なくなる。
実際、現在の離婚の多さと、シングルマザーの増加は、一夫一婦制が崩壊し、次の形態へと変わっていく過程を表していると著者らは考えているようだ。女性が一人で子どもを育てられる社会になれば、一人の夫に縛られる暮らしはしなくて済むようになる。当然、一夫一婦制からの離脱が進行するだろう。
ヒトの精子産生能力と精巣体積の急激な減少が最近起こっていることを示す強力な証拠があります。複数の研究者が、平均精子数のみならず精子の活動性が減少していることを報告しているのです。ある研究によれば、デンマーク人男性の平均精子数は1940年の1億1,300万個から1990年には約半分の6,600万個に減少したと示唆されています。(237ページ)
著者らは、これが一夫一婦制への適応が始まっている現れではないかと考えている。特定のパートナーだけを妊娠させるのであれば、現在ヒトのオスが持っているような精子産生能力は必要がない。
また、男女が相手の婚外交渉に対して抱く強い嫉妬心も、一夫一婦制を維持する強い力となるだろう。社会体制も一夫一婦制を支持する形になっているので、これも一夫一婦制から離脱する大きな障害となる。
著者らは、一夫一婦制が農業生産と密接に結びついたもので、私有した生産手段を後代に伝えるために発達した制度だと説明している。それならば、工業化された現代では生産手段の世襲はおこなわれないので、一夫一婦制を維持する意味は少なくなる。
実際、現在の離婚の多さと、シングルマザーの増加は、一夫一婦制が崩壊し、次の形態へと変わっていく過程を表していると著者らは考えているようだ。女性が一人で子どもを育てられる社会になれば、一人の夫に縛られる暮らしはしなくて済むようになる。当然、一夫一婦制からの離脱が進行するだろう。